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活動報告

【レポート】わたしの「働き方」を考える 学生と社会人~A Place for dialogue~

プレゼンテーション2
1/15(金)「わたしの『働き方』を考える 学生と社会人~A place for dialogue~」(主催:金沢市、金沢イクボス企業同盟)と題し、働き方改革セミナーをオンラインで開催しました。
 
新型コロナウイルス感染症の影響等により、私たちが生きる社会が大きく変化している今、私たちの「働き方」にもパラダイムシフトが起きています。
 
より複雑になる社会に対応していくため、学生と社会人が対等な立場で「働き方」の「イマ」を一緒に見つめ直し、これからの時代に必要な「働き方」の「ミライ」を考えました。
 
セミナーでは20分間のグループワーク(ディスカッション)を3回実施。
学生と社会人が同じグループになり、これからの「働き方」についてディスカッションを行いました。
 
<ディスカッションテーマ>
グループワーク① 「こんな『働き方』はいやだ!」
グループワーク② 「こんな『働き方』が流行る!」
グループワーク③ 「こんな『働き方』がしたい!」
 
世代も価値観も異なる社会人と学生の間で、どんな対話が行われたのでしょうか・・・!
 

転勤?労働時間?したくない働き方とは

 

グループワーク① 「こんな『働き方』はいやだ!」
理想の働き方を考える前に、みなさんに「絶対したくない!」という働き方を話し合っていただきました。
 
挙がった意見は・・・
スライド3


ワークライフバランスやジェンダーギャップなど、現在の日本社会の課題にもなっているものがいくつか挙げられました。
 
そのほかにも、「個人戦は嫌だ」「やる気のない人とは働きたくない」「成果が見えないと辛い」など、チームワークや目に見える成果を重視する声も。
 
すでに働いている社会人の方、今まさに就活中の方、アルバイトをしている方・・・など、参加者の多様な背景を反映するように、さまざまな意見が出るワークとなりました。
 
「嫌な働き方」からそれぞれの価値観が浮き彫りになったように感じます。
 

「実力主義が広がりそう。でもだからこそ・・・」

 

グループワーク② 「こんな『働き方』が流行る!」
1つ目の話題とは視点を少し変え、これからの社会でどのような働き方が流行っていくか、みなさんに予想していただきました。
スライド2ここでは「パラレルキャリア」や「リモートワーク」など、特に最近広がり始めたワードが多く上がりました。
より自由な働き方が進むとみなさん予想している様子です。
 
また、「実力主義が進んで、格差が広がりそう」と少し心配するような声も。
 
一方で「だからこそ他者を思いやることが大切。SDGsの観点が必要になってくる」と話される学生もいて、その意見には多くの方が頷く様子が見られました。
 

見えてきた「働きたい」姿

 

グループワーク③ 「こんな『働き方』がしたい!」 
これまでの時間を通して見えてきた、自分が「働きたい」姿をみなさんに描いていただき、チャット機能を使って共有し合いました。
 
一部をご紹介いたします。
スライド1
「父親を超える人生を送る」と書いてくださった学生さんもいらっしゃったのですが、そのお父様もこのセミナーに参加されているとのこと!
お父様も見ている中で照れ臭そうでしたが、「父親の背中を超えられる働き方がしたいし、そういう仕事に就きたい」と話される姿が印象的でした。
 
他にもたくさんの素敵な声をいただき、ここでは紹介しきれないのが本当に残念です・・・!
 
最後の感想共有・交流会では、
「一人でも多くの事業者・経営者に『学生はこんなに考えてるんだよ』ということを伝えていきたい」
 
「社会人の方が明るく今後の『働き方』を話される姿が良いなぁと思ったし、私たち若い世代もがんばらないと!と思いました」
 
「同い年ががんばっている話や、いろんな働き方を知れて刺激になりました」
 
等の感想をいただきました。
 

終わりに・・・

今回のセミナーは、金沢イクボス企業同盟と金沢市内の4つの大学の学生が合同で企画運営しました。
 
運営メンバーの中で目指していたのは、
「学生と社会人が対等に話せる場を作ること」
 
ZOOMの表示名をニックネームにする、ローカルルールを設けるなど、雰囲気作りにアイデアを凝らしました。
 
学生と社会人が尊重し合い、思いや価値観を共有することで相互に学び、「働き方」を考え、見つめ直す貴重な時間になったのではと思います。
 
社会の変化とともに、「働き方」は今後さらに変容していくと予想されます。
今回のセミナーを通して、社会人や学生、経営者や従業員など、立場や年齢等に関係なく話し合い、互いの意見を尊重する姿勢がこれからの「働き方」に一番必要であり、真の働き方改革に繋がるのではないのかと感じました。
 
企画・運営に携わってくださった学生のみなさま、参加者のみなさま、ありがとうございました!
 
これからも金沢イクボス企業同盟は、学生や金沢市と連携し、セミナー等の開催を通して、さまざまな情報の提供を行い、皆さまの課題解決や目指している働き方の実現の支援を図っていきます。
2021年02月10日 09:18

【レポート】withコロナで「働き方改革」~ありたい姿から「いま」を見る~

イクボス
9月24日(木)にwithコロナで「働き方改革」と題して、金沢イクボス企業同盟初のオンラインセミナーを開催しました。
 
新型コロナ感染症の影響により、私たちの生活や社会は変化を余儀なくされ、現在進行形で状況は変わっています。
今回のセミナーでは、コーディネーターにワークライフバランス北陸の受川寛さんをお招きし、生活や社会の変化に対してどのように対応したかを市内の事業所での3つの事例を紹介しながら、参加者全員で、withコロナ時代の働き方について考えました。
 
〇事例紹介いただいた方々   
株式会社越村商店 庶務業務部 部長 羽布津 忍 様
すえひろこども園 園長 辻岡 秀雄 様、副園長 兼保 裕美子 様
金沢機工株式会社 取締役 総務部 部長 田中 智 様
 

現場があったり、子どもがいたり、お客さんがいたり、目の前に人がいる仕事

まずは、コーディネーターの受川さんから3社に働き方の変化についてインタビューです。

画像1 ワークライフバランス北陸 受川寛専務理事


受川:withコロナという環境で、みなさん働き方を変えたと思います。これから色々お聞きしていきたいと思いますが、はじめに皆さんの会社の業務内容を教えてもらえますか?
 
羽布津(越村商店):事業所から不要物を集め、工場で加工し、新たな資源とするリサイクル業です。現場での仕事がメインです。
 
辻岡、兼保(すえひろこども園):大人を信頼できる保育、子どもに寄り添う保育を目標しています。色々な活動を通じて、自己肯定感を高める教育をしています。また、地域から愛される福祉の拠点になろうと活動を進めています。
 
田中(金沢機工):一般で使う消費財ではなく、工場で使う生産財を販売するメカトロニクス専門商社です。また、製造業の問題を現場で聞き、解決することが私たちの役割です。

受川:皆さん現場があったり、子どもがいたり、お客さんがいたり、目の前に人がいる仕事をされているんですね。
 

①何から・どんな部分から始めましたか

受川:皆さんの働き方改革は、何から・どんな部分から始めましたか?
 
田中(金沢機工):在宅勤務の検討はコロナ禍以前から行っていましたが、小学校の休校指示が出たことで、お子さんのいる社員が在宅勤務できる環境の整備を優先的に行いました。その後、2週間という短期間で、全社員が在宅勤務できる環境を整備しました。短期間での働き方のシフトは大変でした。

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株式会社越村商店 商務営業部 部長 羽布津 忍さん


羽布津(越村商店):現場での仕事がほとんどなので、社内で感染者が発生しても現場の仕事が止まらないことを最優先に考えました。具体的には、支店間の移動禁止、社員の交代出勤、管理者のテレワーク、オンライン会議から始めました。
 
辻岡、兼保(すえひろこども園):コロナ禍以前から行っているIT化が役に立ちました。子どもの記録等の事務作業が多いので、コロナ禍に関わらずIT化で仕事の効率化が図られました。
 

②印象的な社員・職員の反応や変化

受川:働き方を変えてから印象的な社員・職員の反応はありましたか?
 
羽布津(越村商店):店舗勤務の社員を固定化した際に、人員不足が起こり不満が出ました。また、Teamsを全社的に導入しましたが、新しいものに対する拒否反応のようなものがありました。他にも会議がオンライン化したことによる不安や、コロナで先行きが見えないことに対する不安等、新しいことに対するネガティブな反応が多かったように思います。
 
受川:新しいことに対するネガティブな反応にはどのように対応したのでしょうか。
 
羽布津(越村商店):新しいことを導入するメリットを伝えることと、とりあえず使ってみてもらうことを徹底しました。
 
田中(金沢機工):2週間の短い期間で在宅勤務を全社員で行う体制を整備する時には、越村商店さんと同じく拒否反応はありました。ネガティブな反応に対しては、感染を防ぐためにも、社内の出勤率を下げ、密を避けることを徹底したいと伝えていました。最初から完璧な体制にすることはできないので、やりながら改善を続けた結果、働き方改革につながっていったと思います。

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すえひろこども園 園長 辻岡 秀雄さん、副園長 兼保 裕美子さん


辻岡、兼保(すえひろこども園):適切な給与、休暇、公正公平な職場環境を整備していましたが、学校が休校となっても、保育園は休園できず職員から不満はありました。しかし、保護者からの感謝や、地域のライフラインを守っているという職員自身の自覚もありました。
 
受川:皆さん、コロナ禍による目の前の難しい現状を打破するための取り組みを行った結果、働き方改革につながっていったのかと思います。
 

③働き方を変えて良かったと思うことは

受川:働き方を変えて良かったと思うことを1つ教えてください。
 
辻岡、兼保(すえひろこども園):コロナ禍に限ったことではないですが、休みやすい体制を整備すれば、保育園の運営も安定することがわかりました。
 
羽布津(越村商店):現場の仕事は変えようがありませんでしたが、Teams等の新しいツールを導入したことで、教育やコミュニケーションのあり方が変わり、時間や場所を限定しないコミュニケーションが行えるようになり良かったと思います。

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金沢機工株式会社 取締役 総務部 部長 田中 智さん


田中(金沢機工):いつでもどこでも働けるという意識が社員に浸透したことと、社員のペーパーレス意識の醸成につながったことが良かったです。

 

受川:「働き方」はコロナの影響を受けて、強制的にシフトしようとしています。その中で「テレワーク」が急速に普及していますが、皆さんにはテレワークを1つのきっかけにしていただきたいです。テレワークは本来「離れて仕事をする」という意味です。テレワークをすることが目的ではなく、職場を離れたり、増えたり、減ったり、職場が固定しづらくなった。そこで、働き方をどのように変えていき、これまでの質や量を保つかが、本来の目的です。組織のありたい姿を思い浮かべながら、働き方を変える1つのきっかけとして、「テレワーク」を考えてみてください。


\テレワーク導入の際のポイント/(ワークライフバランス北陸 受川専務理事)

①属人化から標準化にシフトしていくためのナレッジマネジメント
(知識や情報の管理と一元化)
②事業の継続と社員の安全と健康を守るためのルールづくり
(アクセス権、チーム分け、緊急時対応)
③社員のメンタルに気を配り全体最適・部分最適を考えた定期的なメンテナンスと改善と現場の声のヒアリング

 

ブレイクアウトセッション

事例紹介をしていただいた後は、2グループに分かれてディスカッションをしました。
ディスカッションのテーマは「職場環境や働き方を変えようとしたとき、何が難しいと感じますか?」
デスクワーク、現場がある仕事、対面の接客等、働くスタイルは多種多様です。その中で、働き方を変えようとしたときに、どんな壁があるのか。変えてはいけないこと、変えられないことはなにかも加えて、ディスカッションしました。
 
ディスカッションで出た意見はこちら↓
・リモートワークや在宅勤務への移行はスムーズにできたが、仕事の時間と家族の時間の切替がうまくできない。
・リモートワークへの切替には、費用がかかる
・変えてはいけないことは、組織の理念とありたい姿、個別化だけではなく社員同士の横のつながりは必要。オンラインだけではなく、対面のコミュニケーションも変えてはいけない。
・準備が大切!何があっても柔軟に対応できる準備が必要。
・今までは労働時間で評価していたが、働き方を変えていくためには、成果での評価にシフトしていく必要がある。
・テレワークだと孤独感がある。社員には個別の丁寧な対応が必要になる。
・先のことを見据えて、目先の失敗を受け入れるチャレンジングな風土に変わることが必要。
・コロナをきっかけに会社を強くする!
 

「余白」の大切さ

受川:皆さんwithコロナ時代に対応するために、様々な工夫をして働き方を変えようと取り組んでいることが、事例紹介やディスカッションから伝わってきました。最後に皆さんに忘れて欲しくない「余白」についてお話しします。新型コロナウイルスの影響は会社だけではなく、皆さんの生活にも顕著に表れていると思います。そして、見えない何かに恐れ、抑圧と開放が交互にやってくる不連続な波に流されまいと、必死に立ち向かっています。その中で、「時間と場所」について「これでもか!」という制限を受けています。飲食店などでは、隣の席に×印があったり、受付やレジにはフィルムが張られ、非接触が良しとされています。ZOOMでは、一見、効率の良い話し合いができますが、1日に何回もの打合せで気力も体力も疲弊してしまいます。以前の私たちの生活には、もう少し「余白」がありました。雑談、移動時間、1人の妄想、さぼり。これらを失うことは、創造性の欠如や、寛容な人間性を失うことでもあります。「余白」が持つ意味や大切さについて、忘れないで欲しいと思います。本日はありがとうございました。
 

終わりに・・・

コロナ禍で、我々のライフスタイルや仕事の仕方などがかなり変化しました。今回は「テレワーク」を切り口に話し合いましたが、そのような中で、これまで無駄と考えていた移動や雑談などの時間の喪失が、逆に我々の「創造性」や「寛容な人間性」を失わせた、という最後の言葉に「ハッ」とさせられたようにも思います。
「働き方改革」を進めていく中で、そして組織の「イクボス」として、この「時間」に代わる「余白」をどのように捉えていくかについては、今後の機会に、改めてテーマとし、取り組んでみたいと考えております。
 
これからも金沢イクボス企業同盟はセミナー等の開催を通して、さまざまな情報の提供を行い、皆さまの課題解決や目指している働き方の実現を図っていきます。

 

2020年10月19日 14:31

初めて「オンライン定例会」を行いました!

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連絡会の定例会を、初めてオンラインで行いました。

各社の近況や今年度の取組について、久しぶりに顔を合わせて話ができました。

これまでは集まって定例会を行っていましたが、今後はオンラインをうまく活用して
「密に」連携を取っていきたいと思います。
2020年07月07日 10:12

【報告】「テレワークの実施に関する緊急アンケート」結果について

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 金沢イクボス企業同盟では、4/14(火)~4/20(月)にかけて、「テレワーク実施に関する緊急アンケート」を行いました。

 短い期間にも関わらず、100件を超える回答が集まりました。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

 回答結果からは、一部でもテレワークを実施している組織は75%程度ある一方、テレワークの実施においてはセキュリティ上の不安等により「できる仕事が限られる」といった意見も多く見受けられました。

 また、事業所の規模や業種によって実施状況が異なる傾向も見られました。

調査期間:2020.4.14〜2020.4.20
調査方法:webフォーム
回答数:101件

アンケート結果〔PDF/1,244KB〕
 

アンケート結果サマリ

・「テレワークを行っている」組織は全体の約75%、「テレワークを行っている」人は全体の約70%を占める
・組織の課題は、「セキュリティ上の不安がある」
・自身の課題としては、「自己管理が難しい」
・テレワークのメリットは「通勤時間の削減」「仕事の進め方の見直しができた」
・テレワークのデメリットは、「できる仕事が限られる」「社内コミュニケーションが難しい」
・事業所の規模別では、「1~29人」の事業所のテレワーク実施率が高い一方、「30~99人」の事業所では、「準備していない・その他」が25%を占める
・業種別では、「サービス業・その他」の実施率が高い一方、製造業の実施率が低い

 

アンケート結果報告(抜粋)


テレワーク実施状況

 テレワークを実施している組織は75%を超え、一部の業務でもテレワークを実施している人は、70%を超えています。

実施状況(組織・個人)


テレワークにおける課題(N=101)
 テレワークにおける課題として、組織では「セキュリティ上の不安」と回答した方が約半数以上を占めており、テレワーク実施にあたってセキュリティ対策を行う必要性が伺えます。
 一方、個人では「自己管理が難しい」と回答した方が約3割を超えています。

組織の課題_コピー

個人の課題_コピー

 
テレワークのメリット・デメリット(N=101)
 テレワークにおけるメリットと感じることとして、7割近くの方が「通勤時間が削減した」「仕事の見直しができた」を挙げています。
 一方、デメリットとしては「できる仕事が限られる」の他にも、「社内コミュニケーションが難しい」「オンオフの切り替えが難しい」を約半数近くの方が挙げており、オフィス以外で働く環境に対してデメリットを感じる方が多いようでした。

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 また、自由意見としてテレワークの実施に対する高いハードルを感じている一方、新しい関係性の構築、さらには働き方をシフトしていく必要性など、現在の状況を前向きにとらえる意見も多く寄せられました。

自由意見一覧〔PDF/805KB〕


 今後も金沢イクボス企業同盟では、各種アンケートやセミナー等を通じて働き方改革の普及啓発に取り組んでまいります。



 
2020年04月27日 09:44

テレワーク実施に関する緊急アンケートを行います!

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 石川県及び金沢市では、新型コロナウイルス感染症の急速な蔓延を受け、4/13(月)に独自の緊急事態宣言が発出されました。
職場における感染症の拡大防止に向けて、会社の外で働く「テレワーク」の導入が急速に拡がっています。
 働き方の多様化につながるとの期待がかかる一方、課題も見えてきており、各自で手探りの取り組みが続いています。皆さまの会社ではいかがでしょうか。

 そこで金沢イクボス企業同盟では、主に金沢市内におけるテレワークの実態を把握するため、緊急アンケートを実施することとしました。
アンケート結果につきましては、今後金沢イクボス企業同盟のホームページやfacebookで発信するとともに4/22(木)17:30~開催予定のwebセミナー「SDGsカフェ#11」にて発表する予定です。

【イベントページ】
SDGsカフェ#11 持続とは変化!?~withコロナ時代の働き方とリモートワーク~
https://kanazawa-sdgs.jp/2020/04/15/sdgscafe11/

 いただいた回答はアンケートの目的以外には一切使用いたしませんので、率直なご意見をお聞かせください。

▼回答はこちらから
https://forms.gle/6AHbARKNEPMGQy356

回答期限:4/20(月) 18:00
2020年04月15日 17:29

【レポート】「働き方改革フォーラム」で安藤哲也さんがご登壇!
 

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 1/31(金)、金沢市主催の「働き方改革フォーラム」にてNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也さんにご登壇いただきました。
 
 約1時間半があっという間に感じるほど中身が濃かったお話の様子をレポートします!

イクボスは「社会を育てること」

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 まずは、「イクボス」が必要となってきた背景について。
 
 制約のある社員の増加や社会の価値観の変化などから、これまでのように制約のない労働者を中心としたマネジメントでは、成果を上げることができなくなっており、「男女問わず全て」の労働者の育児や介護などの事情を理解する「イクボス」が必要になってきているとのこと。
 
 ここで、改めて「イクボス」とは、、
 
 「職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のこと」
です。
 
 安藤さんは「イクボス」を実践することで、部下や企業組織を育てるのみならず、「社会を育てる」ことにもつながると言います。
 
 目先の利益や常識にとらわれず、社会のことも考える広い視点でマネジメントをすることがこれからの時代には求められているとのこと。
 
 また、マネジメント=管理ととらえるのは間違いで、多様な人材を「編集」して組織を上手にまわしていくことが、本当のマネジメントだと安藤さんはおっしゃっており、「管理職」という言葉も見直した方が良いと提案します。
 
 管理職の仕事は、人材育成であり「育成職」という名前の方がふさわしいのではないか!ともおっしゃっていました。
 

マネジメント手法としての「イクボス」

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「働き方改革」に対しては、多くの事業所が勘違いをしているといいます。
 
 労働時間の短縮などの単なる「働かせ方改革」ではなく、以下の3つを行うことが真の「働き方改革」だと言います。
 
  • 生産性の向上
  • 健康経営
  • 多様性の推進
 
 これらを実現するためにどんなマネジメントをすることが大事か、安藤さんからさまざまなお話がありました。
 
例えば、、
 
 生産性を上げて、労働時間が減ったとしても「残業代がなくなったから生活が苦しくなった」という人がいることはおかしなことであり、経営者は覚悟を決めて、業績が上がったら社員に還元してほしい!という話や、
 
 海外と日本の初任給の差などにも触れ、今のままでは優秀な人材がどんどん日本を出て行ってしまうと警鐘を鳴らしたり、
 
 日本企業の大きな課題として「長時間労働」と「業務の属人化」を挙げ、個人が遅くまで頑張って働いて結果を残すのではなく、短い時間で成果を出す「work smart」を推奨しようというお話もありました。
 
 また、ご自身が大企業の管理職だった時のエピソードも紹介。
ペットを大事にする社員がいたので「ペット休暇」を作り、ペットの具合が悪い時などに休みが取れるようにしたご経験もあるとのこと。
 
 ただ、安藤さんが強調するのは、どれも業績を残すために行ったものである点です。
 
 社員の個人的な事情を大事にすることも、すべてはチームで同じ目標に向かって仕事をするための環境づくり。そのために、日頃から仲間とミッションを共有し、仕事の仕方を変えていく勇気も必要だとおっしゃっていました。
 
 「イクボス」を推進しているのは、これからの時代に企業が成果を出すために必要なマネジメント手法として大事だと感じたからだとも。
 
 「昔からこうだった」とか「自分はこうやってきた」というある意味思考停止ではなく、安藤さんはあくまで成果を出すための手段として「イクボス」のマネジメントを行ってきたのだと感じました。
 
 また、大事なのは「働き方改革」にどう取り組むか、ではなく「成果を上げるためのマネジメントとは何か」ることであり、その結果が「イクボス」だという点です。
 
 この話を聞いて、成果を上げるにはどうしたら良いか。それが本当に今までのやり方で良いのか。自問するところから働き方改革は始まるのだと感じました。
 
 また、安藤さんの「イクボス」としてのお話の中には、「社員を信用することが大事」という話もあり、個人個人がいかに「存在意義」を持って働く環境を作ることができるかが「イクボス」のマネジメントにおいて重要な点なのではないかと感じました。
 

「どれも7掛けで良いから、諦めずに全部やっていこう」

 そして、これからの社会で生きていくためにどんな「生き方改革」が必要か、というお話に続きます。
 
 2060年の人口ピラミッドを見ると「ムンクの叫び」のような形になっていることから将来の日本を「ムンク社会」と安藤さんは名付けます。

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参考:国立社会保障・人口問題研究所
 
 団塊の世代と言われる昭和23年生まれの人口が約250万人居る中、今年の新生児は約86万人であり、人口が減っていくことは明らかです。
 
 この人口構成を見ても、これからは子育てで制約のある社員より介護による制約を受ける社員が増えるといいます。
そんな社会の中で重要なのは「マルチステージ」の生き方。
 
 人生のさまざまなステージに合わせた生き方を選んでいく時代であり、現在の副業解禁の流れもその一環だと示してくれました。
 
 そして、「生き方」においても何かを選んだら何かを選べない「天秤」ではなく、いろいろなことを盛り込んだ「寄せ鍋型」でいこうという提案をいただきました。
 
 仕事だけでなく家庭も地域も。趣味も育児も介護も。
 
 どれも7掛けで良いから、諦めずに全部やっていこうという言葉がとても印象的でした。
 
 諦めないことで、それぞれが相乗効果を生む「ワークライフシナジー」が、これからの生き方であると締めくくられました。
 
 安藤さんのお話の中には、「金沢はまだまだだなあ」と耳の痛いことも多くありました。しかし、社会で起きている変化は大きく、自身が変化しないと時代に取り残されてしまうことを改めて感じました。
 
 また、安藤さんのお話しは「よく考えるととてもシンプルなこと」ばかりでした。
 
 今まで当たり前だと思って受け入れていたことも、少しでも違和感を感じたら諦めずに向き合って考えることが大事だと感じました。
 
 会社に勤めている人も、経営層の人も一人の人間としてどういう生き方をしていくか。
 
 目の前の人や生活を幸せにしつつ、社会全体や次の世代が幸せになることも見据えて自分の頭で考え、行動していくことが大事だと気づかされた講演でした。
 
 
2020年02月10日 11:01

【レポート】「働き方改革のツボ」を考えるセミナーを開催しました!

オータムセミナー
11/21(木)、働き方改革オータムセミナー2019を開催しました。
昨年度と今年度の「金沢市働き方改革チャレンジ宣言企業」など「働き方改革」に取り組んでいる企業から約30名が参加し、互いの取り組みについて情報共有し交流を深めました。

グループディスカッションでは、NPO法人ワークライフバランス北陸の受川寛(うけがわひろし)さんをコーディネーターに迎え、働き方改革の「ツボ」をキーワードに様々なテーマについて考え、意見交換をしました。

<プログラム>
①金沢市働き方改革チャレンジ宣言企業からの取り組み事例紹介
②話題提供「働き方改革の3つのツボ」
③グループディスカッション
 

1.金沢市働き方改革チャレンジ宣言企業からの取り組み事例紹介

②
金沢市では、今年7月に働き方改革に意欲的に取り組む6社を「金沢市働き方改革チャレンジ宣言企業」として決定しました。
7月以降取り組んできた活動について、コーディネーターとの対話形式で紹介をしていただきました。

取り組みを紹介したチャレンジ宣言企業
富士精機株式会社
③
第一電機工業株式会社
第一電機株式会社
株式会社越村商店
株式会社越村商店
株式会社エム・ビデオプロダクション
株式会社エム・ビデオプロダクション
株式会社アーバンホーム
株式会社アーバンホーム
橘建設株式会社
橘建設株式会社

チャレンジ宣言企業の取り組みとしては、
・生産性を向上するために、社内で勉強会を開催している
・人手不足を解消するために、女性や高齢者が働くことができる環境の整備をしている
・業務効率化のためにICT(情報通信技術)を導入している
・残業を事前申請制にし、業務の効率化を図っている

などが紹介されました。

確かに、生産性の向上、人手不足の解消、業務の効率化は「働き方改革」を進めていく際には考えていかなければいけません。しかし、「本当に考えなければいけないことが他にあるのではないでしょうか」とコーディネーターから問いかけがあり、次のプログラムへと進みました。

「働き方改革」を進めている企業の皆さまにお聞きします。
「働き方改革」の目的が目の前の課題に対して手法や制度、ツールを導入することになっていませんか?


 

2.働き方改革3つのツボ

⑨
コーディネーターから「働き方改革3つのツボ」をテーマに話題提供を行っていただきました。

■望ましい未来から逆算する

「働き方改革」を進めていくときには、はじめに会社としての望ましい未来を描き、そこから現在を考える「バックキャスティング」の考え方を持つことで社員がついてくるようになる。

「社員がいきいきと働ける職場にしたい」、「社員にゆとりのある生活を送ってもらいたい」などの未来の姿を考え、そこから逆算してどんな手法や制度、ルールを導入すれば未来に到達できるのかを具体的に考え、実行していくことが必要である。

■権限委譲で部下の能力を開花

上司が持っている仕事の一部を部下に与えることで、上司は別の仕事に集中することができ、部下は上司の仕事を委譲されたことでモチベーションが向上し、自然と責任感が生まれる。(このことは一般的に「エンパワーメント」と呼ばれています。)
 
部下の仕事が増えて長時間労働につながるのではないか、という質問に対しては、
「権限委譲を行うことで、部下の能力を開花することにつながるため、必ずしも長時間労働につながるわけではない。上司は部下を育てるために、権限を委譲することが求められる。」とのことでした。

■「無意識」を「意識」する

ダイバーシティを推進していくことが求められる現代社会では、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」は重要なテーマとなる。
・子育て中の女性に、時短勤務をすすめる
・お客様にお茶を出すのは女性にしてもらう
・若い人は発想が柔軟で、年長者は頭が固い
などの無意識な偏見や思い込みが社内の雰囲気としてあると、善意で発言したとしても社員の働く意欲を奪ってしまう可能性がある。

「アンコンシャス・バイアスをなくすことは多様性の受容へとつながります。
「無意識」の偏見なので、なくすためにはまず自分の言動について「意識」することから始めましょう」、とコーディネーターから参加者に提案がなされました。
 ⑩

■関係の質の向上

「働き方改革」は人と人との関わりの中で進めていくもの。そこで大切になってくるものが関係の質であり「バックキャスティング・エンパワーメント・アンコンシャスバイアス」のベースとなっている。

関係の質を向上するためには、お互いの理解を深め、尊重し合い一緒に考えることが必要です。社員とコミュニケーションを取らずに改革を進めていっても社員がついてこず何も成果が出ません。自分達は何がしたいのか、何を目指しているのかを会社だけでなく個人でも考え対話し共有できる場を作っていくことが大切だと感じました。
 
■「幸せ」という視点

「働き方改革」には、生産性や効率性の向上も大切だが「社員の幸せや豊かさ」という視点が必要である。制度や手法、ツールを何のために取り入れるのか、それが社員の幸せにつながっていないとやらされ感を持った改革になってしまう。
 
時間削減は何のためにするのか?
職場や社員の生活の変化をイメージで説明することはできるか?
共感を得る方法はどんなものがあるか?
手法やツール、制度やルールを導入する時に、社員はどう思っているのか?


「社会から、そして社員から選ばれる、必要とされる「職場」を育てていきませんか」、とフロアに呼びかけ、話題提供を締めくくられました。
 

3.グループディスカッション


話題提供が終わり、後半は各テーブルでディスカッションを行いました。今回のセミナーは参加者同士の対話を重視し、ディスカッションの時間を多く設け、フロアから出た意見を、その場でスクリーンに投影し、ライブ感溢れるものとなりました。

⑪

テーマは5つ
①取り組みをしていく上で難しいと感じていること・悩んでいること
②人について悩んでいることってどんなこと?
③昭和と平成の世代間について
④自分は、なぜ仕事をしているのか?
⑤働き方改革について今年中にやることは何ですか?

⑫

⑬
テーマ①では、社員全員が納得して進めていくことや役職や世代、性別が違う社員とのかかわり方など、「人」に関する難しさや悩みが多く見受けられました。

「人」に関する難しさや悩みを解決するためにも、関係の質を向上させることが重要になります。関係の質を向上させていくことで、考え方が変わり、考え方が変わることで行動が変わり、結果へとつながっていきます。すぐに関係の質を向上させることは難しいと思いますが、継続してコミュニケーションをとることを欠くと改革は前に進みません。

テーマ④は参加者から提案があったものです。自己実現のため、生きるため、社会貢献のため、自分と周りを幸せにするためなど人によって様々な意見が出ました。どの意見も尊重すべきであり、多様性として受容していく必要があります。

最後に、今年中にやることを参加者全体で共有しました。
今年も残すところ1ヶ月となりましたが「「社員の幸せ」の視点を取り入れたい」、「関係の質を向上させるために対話しやすい雰囲気をつくる」、など社員と会社という関係を重視する意見が多く出ていました。

今後も少子高齢化・人口減少によって人材不足は加速していくと考えられます。その中で企業は働き手や働き方の多様化を受容することが求められます。
「この会社で働いていきたい」、「この会社を選んでよかった」と社員に思ってもらうために、企業は今何をすることが必要でしょうか

「働き方改革」の第一歩は、何のための改革なのかをみんなで共有することだ、と
この機会に一度立ち止まり「働き方改革」をする意味をもう一度考えてみてはどうでしょうか。
 
これからも、金沢イクボス企業同盟ではセミナー等の開催を通して、企業が一歩踏み出せる情報や、一歩引いて客観的に自分達を振返ることができる機会の提供を行っていきます。



 
2019年12月09日 13:38

【レポート】2030年の働き方を考えるセミナーを開催しました!

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 7/26(金)、金沢では35℃を記録した猛暑の中、「2030年 こんな会社があったら金沢で働きたい!-社会に求められる企業経営の姿とは-」と題し、サマーセミナーを開催しました。
 
 今回は、金沢のSDGsを推進する「金沢SDGs-IMAGINE KANAZAWA 2030-」プロジェクトとのコラボ企画として、誰でも気軽に参加でき、SDGsを学び議論する「SDGsカフェ」にも位置づけての実施となりました。
 
 ゲストは、2017年のフォーラムでも講演いただいた、サイボウズ株式会社の野水克也(のみずかつや)さん。加えて、今回は、現役の大学生2名から2030年の自身の働き方を想像していただきました。

<プログラム>
① 金沢イクボス企業同盟の活動について
② 金沢SDGs -IMAGINE KANAZAWA 2030-プロジェクトについて
③ 学生発表「2030年 こんな働き方をしていたい」
④ 話題提供「給料が低くても人気のある会社になるには?」
⑤ トークセッション
⑥ グループディスカッション

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 まず、司会から、金沢イクボス企業同盟の概要や「金沢SDGs -IMAGINE KANAZAWA 2030-」プロジェクトの説明を行った後、現役の学生二人から「2030年 私たちはこんな働き方をしていたい」と題して、2030年のご自身の働く姿を発表していただきました。
 

学生発表「2030年 こんな働き方をしていたい」

 発表者のお二人は、東京都台東区出身で金沢大学に在学中の中西辰慶(なかにしたつよし)さんと、金沢市出身で明治大学に在学中の戸上玲央(とがみれお)さんという、金沢にゆかりのある方々です。
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中西辰慶さん      
 Photo by 国連大学IAS-OUIK
 

 
 ■ 働く上で大事なことは“コスパ”
 中西さんからは、まず「働く上で大事なことはコスパ」という衝撃の(?)一言が。
 しかし、「コスパ」という言葉には深い意味がこめられていました。中西さんの言うコスパの良さとは、自分の時間を確保したり学びや成長を感じることを通して自己実現できることであり、単に「楽して稼ぐ」ことではないということ。
またご自身の将来については、「週休3日で、75~80歳まで何かしらの職に従事している」というお話があり、75~80歳まで働くためには30代後半から40代半ばまでに「学び直し」の期間を取ることが必要とのことでした。
新卒時に持っている知識だけでは、時代の変化についていけず、80歳まで第一線で働く事は不可能。週休3日という働き方に関しても、単に労働時間を減らすのではなく、「学びの時間」に充てたいと中西さんは考えています。
 最後に。「これからの企業には社員が“新しいスキルや知識を学びたい”と言った時にどれだけ柔軟に対応してくれるかが求められるのでは。」というお話で締めくくられました。
 
 「コスパ」というキャッチーな言葉でご自身の未来を想像してくれた中西さん。
これから働く上では、会社だけに自分のリソース(資源)を捧げるのではなく、持続的に働くためにどう自分のリソース(資源)を使っていくか。そして企業は社員の希望に対してどれだけ柔軟に対応できるか、が必要になってくると感じた発表でした。     
 

 
 ■ 自分一人の活躍より、自分が生きる社会そのものの活性化

 続いて、戸上さんによる発表です。

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 戸上玲央さん 
Photo by 国連大学IAS-OUIK
 
 戸上さんは、来春東京での就職が決まっていますが、「30歳を過ぎる2030年には、地元に戻って働いていたい。」とのことでした。 
 「金沢も含めて2030年の地方都市は独自の仕事をつくることが求められる。」「個人としても新しい技術をきちんと学んでおくことが必要。」というお話しもあり、自分の利益よりも社会そのものが活性化することに重きを置いている点や、一つの専門分野を極めるというよりは多様な視点で物事を見れるようになりたいという点が印象的でした。
 
 お二人の話を聴いていて改めて感じたのは、これからの社会では長い期間働くことを想定し、それに向けた準備をしておく必要があるということ。
 もはや、「定年」という概念がなくなっていることを意識させられる発表でした。
 

 話題提供「給料が低くても、人気のある会社になるには?」


ここからは、サイボウズ株式会社・社長室フェローの野水克也さんからの話題提供です。

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野水克也さん   
Photo by 国連大学IAS-OUIK


■ 儲け方が変わったのに、働き方が変わっていない
 まず、「おじさんが気づかない社会の変化」として、日本のジェンダーギャップ指数が世界の中で著しく低いことや夫婦別姓が遅れている状況を挙げ、日本が世界から取り残されている現状を示していただきました。
 また、「産業構造がこの30年で金融・製造系中心からソフトウェア系へ変化している中で、発想の転換ができていない。これは、儲け方が変わっているのに働き方が変わっていないことが原因だ。」という指摘がありました。
 
 そのような時代背景の中で、「持続可能性を担保しながら稼いでいくことが企業には求められる」と野水さんは言います。
 
 さらに、「この現状について学生は敏感に反応しており、自己防衛の意味でもこれまでの働き方ではいけないということを感じている」とも。
 
ジェンダーギャップ指数:各国の社会進出における男女格差を示す指標。世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しているもので、経済活動や政治への参画度、教育水準、出生率や健康寿命などから算出される。0から1までの値を取り、1に近いほど平等の度合いがより高いことを示す。
 
■ 若者は、“リアルに食っていけるか”を本気で見ている
 「これからは給料が上がり続けることが保証されない社会であり、夫婦でフルタイム、ダブルインカムが必須になってくる。これを“女性の社会進出”ととらえるのは大きな間違いであり、これからの社会ではいかに男性が女性を支援できるかが死活問題である。」とのことでした。
 つまり、「若者は“リアルに食っていけるか”を本気で見ている。」と。
 
 しかし、これを許容できる企業が金沢にどれだけあるか?
 
「企業の多くは、東京に若者が取られていると思っているが、実際に学生に人気の職業は地方公務員。将来を見据えた時に、夫婦二人で安心して長く働くことができる環境を考えると、大変合理的な選択だ。」と野水さんは分析します。
また年功序列も崩れており、若いうちに下働きをすることが求められていない時代になっているとのことでした。
 
では、企業は何をするべきか。
 
ここからは、サイボウズ株式会社の実際の取組にも触れながらお話しいただきました。

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Photo by 国連大学IAS-OUIK
 

■ 自立と多様性が重要
 サイボウズにおいては、「働き方は社員自身が自分で決めている。働きたい人は働くこともできるし、休みたい時は休んでも良い。どちらにしても、自分で決めること。再学習も自分で決めてもらい、企業として環境は提供する。社員には自立と多様性を徹底している。」とのことでした。
 
 そして、こう続けます。「ただ、自立とは孤独に耐えるわけではなく、たくさんの人や社会に支えられている状態のこと。企業が社員の一生を保証するというのは幻想でしかなくなってきているが、社員がスキルをつけたいと言った時に、それをどれだけ認めることができるかがこれからの企業には求められる。現状では出来ない企業が多すぎる。」
 「さらに重要なのは、サイボウズがIT企業だからできるわけではなく、公共事業中心の建設業の会社でできている事例もある。ビジネスモデルはどの業種でも変えられる可能性があり、ITなどを駆使して早く若手が育つ会社が良い会社と言える。」
 
 最後に、「経験のない社員が長い期間働くためのスキルを身につけるために、企業は何を提供してあげられるかを“真剣に”考えれば自ずと答えは出てくる」という言葉がありました。
 
 野水さんの話題提供の中では、これからの企業は「社員を雇う」という意識から、「社員を支援する」ことに意識転換を図ることが重要だと感じました。
「雇う」というのは「賃金を払って、働かせ使う」という意味ですが、これからの時代はいかに社員に寄り添えるか。そのためにも、社員側としては「自立と自律」の精神で自分の人生に責任を持っておくことも必要だと感じました。
 

トークセッション


 野水さん、中西さん、戸上さんによるトークセッションでは、会場からの質疑が絶えない活発な議論が行われました。
 
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Photo by 国連大学IAS-OUIK
 
 トークセッションで主に議論となったのは、個人においても企業においても「持続可能性」に関すること。
「人生100年時代」と言われる時代、80歳まで持続的に働くために何が必要になるか。
 
 個人としては好奇心を持ち、世間に評価されること。
 
 また、企業としては「人」に依存せずに「しくみ」で売上を上げることや社員の再学習を支援することなどが挙げられました。
 
 さらに、本セミナーの副題でもある「社会に求められる企業経営の姿」とは「近江商人の考え方である“三方よし”を大事にすることではないか。」という話も出ました。
 
「個人も企業も地域も、誠実で周囲から尊敬されることが最も重要である。」「金沢は勤勉で文化もあるので、日本で最も“尊敬できる地域”を目指してはどうか。」という話もあり、金沢の目指す方向性がなんとなく見えた気がしました。
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Photo by 国連大学IAS-OUIK
 

グループディスカッション


 セミナーの後半は、各グループでのディスカッション。
 各グループには大学生が席についており、同じグループの社会人と2030年に向けて「今、自分が取り組めること」について話し合いをしていただきました。
 
 短い時間でしたが、普段なかなか話すことのない異なる立場の人たちとの議論で、いろいろな視点を得ることができたようです。

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Photo by 国連大学IAS-OUIK


 最後に野水さんからの講評。

「働くにあたって大事なことは、まず自分がどうしたら輝くことができるかを大事にすること。」
「役割と役職を会社の中の価値観として、どう分けるか。マネージャーや管理職はあくまで役割であることを理解する必要がある。価値観を変えると多様な働き方が見えてくる。働き方改革では、そこまで視野を広げる必要がある。死ぬ時に幸せな自分を考えること。」

 今回のセミナーで感じたことは、「働き方改革」では特に何か特別なことをする必要はないのではないか、ということ。「三方よし」の考え方や、誠実であることの大事さなどの話が出てきたことからも、「当たり前のこと」をいかにできるか。
 そして、個人としても自立と自律が大事であること。自分の幸せが何か自分で決めると同時に、自らで律してその幸せに近づいていくことが大事であると。
 
 野水さんは、「自立」とは周りの人に支えられている状態だと言っていました。
皆で支えあいながら働くことは、「働く」の語源とも言われる「傍(はた)を楽にすること」に通じることだと感じました。
 
 周囲と支えあいながら働き続けられる環境を築くことが、本当の働き方改革なのではないか。
 
 そんなことを感じたセミナーでした。
 
 これからも、金沢イクボス企業同盟ではセミナー等の開催を通して、さまざまな情報の提供を行い、皆さまの課題解決や目指している働き方の実現を図っていきます。



 
2019年08月09日 16:19

【レポート】「IT導入」をテーマにセミナーを開催しました!

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12/11(火)に、ウインターセミナーを開催しました。

テーマは「IT導入だけでは実現できない真の働き方改革」。

 

タテマチストリート内のHARMONIE studioで行われた今回のセミナーは、25名の方々にお集まりいただき、中身の濃いセミナーとなりました。

 

ご参加していただいたみなさま、ありがとうございました。

 

今回で4回目となるセミナーは、「ITの導入」から働き方改革を考えていく内容です。

 

 

プログラム

 ① 金沢市働き方改革チャレンジ企業宣言からの報告

 ② 話題提供「IT導入に失敗しない5つの法則」

 ③ 事例発表

 ④ グループディスカッション

 

1.金沢市働き方改革チャレンジ宣言企業からの報告

 金沢市では、今年7月に働き方改革に積極的に取り組む6企業を「金沢市働き方改革チャレンジ宣言企業」として決定しました。

 

 金沢市経済局労働政策課係長 藤田氏より事業の説明をいただいた後、2つのチャレンジ企業から、これまでの取組みを発表していただきました。

 

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株式会社トーケン 岡本氏

 

 株式会社トーケンの岡本広志管理本部長からは、冒頭「働き方改革に関しては、日々試行錯誤しながら取り組んでいる。『働き方改革は宝の山』という前向きな考え方で進めている。」というお話しがありました。

 

 「社員が主役」の働き方改革を目指しており、「多様な人材の採用」「若手・女性社員が活躍できる適材適所の人材活用」「意識改革を伴う業務改革」に取り組んでいるとのことでした。

 

 「意識改革を伴う業務改革」の一環でITも積極的に活用しており、テレビ会議システムの導入により移動時間の短縮につなげたり、現場にライブカメラを設置し、遠隔でも現場の進捗状況がわかる環境を整備するなど、どんどん新しい技術も導入されているとのことでした。

 

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金沢西病院 小澤氏 

 

 続いて、医療法人社団博友会 金沢西病院経営部の小澤なおみ氏に発表していただきました。

 

 医療現場の現状として、人命に関わる仕事であるため24時間365日稼動する必要があること、また専門の資格を持つスタッフが複数名必要であることや、個人のセンシティブな情報を取り扱っているので高いコンプライアンス意識などが求められることなどをお話しいただきました。

 

 そのような環境の中、金沢西病院においては「電子カルテを活用した患者情報の院内共有」を中核に働き方改革を進めているとのこと。電子カルテを有効に活用することにより、ミスのない医療・看護・介護をスムーズに提供することでロスのない就業につながり、時間外労働削減などの働き方改革の実現を目指しているそうです。

 

 今後の展望として、スマートフォンとiPadを職員へ配備し、全業務の連絡、報告、相談の迅速化を図り、個人ライフスタイルの確立に貢献していきたいというお話がありました。

 

2.「IT導入に失敗しない5つの法則」

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ピー・シー・エー株式会社北陸営業所 庵下氏

 

 話題提供として、ピー・シー・エー株式会社北陸営業所の庵下貴志所長、浦川貴成主任から「IT導入に失敗しない5つの法則」というテーマでお話しいただきました。

 

 まず、庵下氏から働き方改革を取り巻く国や県の状況をお話しいただくとともに、働き方改革の取組みステップとして3点を挙げていただきました。

 ステップ1は制度、ステップ2は風土、ステップ3としてITの導入。

 

 庵下氏としては、特に「風土」の改革が重要と考えておりトップの意識改革や徹底的な「ムダ・ムラ・ムリ」の排除が必要になるとのこと。

 

 しかし、たとえ風土が変わったとしても、実際には仕事量が減らない現実があり、人手が不足している現状も合わせて、ITの活用が必要になるとのことでした。

 

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ピー・シー・エー株式会社北陸営業所 浦川氏

 

 続いて浦川氏から、「IT導入に失敗しない5つの法則」についてお話しいただきました。

 

 経営者を対象にとったアンケートでは、半数以上の方が「自社のITシステムに満足していない」というデータもある中、ITの導入において満足度を上げるポイントをこれまでのご経験からお話しいただきました。

 

 

1、「目的が明確化できていること」

 ITの導入にあたっては、フォアキャストではなくバックキャストの考え方が大事と強調されていました。

 目の前にある課題の解決から考えるのではなく、会社のあるべき姿をイメージして「何のために導入するのか」を明確にしなければせっかくのツールも活かしきれないとのお話でした。

 

2、「期間が定まっていること」

 ITの導入後にいつ有益化するかをきちんと考えることが重要とのことです。

 ITを導入するまでの期間はもちろん、成果を挙げるまでの期間も明確にしておくことがポイントというお話もありました。

 

3、「立場が明確になっていること」

 社内の誰にとって有益になるかを明確にすることが重要とのことです。

また、経営者のITリテラシーが高い企業は比較的成功するパターンが多いようです。

 

4、「専門家を見極めること」

 良い専門家は、企業のあるべき姿を見据え、「導入のプロセス」を一緒に考えてくれるとのことです。

 導入時だけではなく導入後もサポートしてくれる専門家であれば、さらに安心できるとのお話もありました。

 

5、「IT化と業務改革は並行して推進すること」

 ITの導入にあたっては、業務改革を同時に行うことが必要であり、効果的に取り組むための2つのポイントを教えていただきました。

 

① ワークフロー図を描くこと。

② 何のためにIT化や業務改革を行うのかを、経営者から社員に伝えること。

 

 ①に関しては、属人化している業務を図に描いてみると、どこにムダがあるのかが一目瞭然になるとのこと。属人化している仕事というのは、本人にもなかなか全体像が見えていないものであり、それを一度図にすることで気づきを促す意味もあるとのことでした。

 

3.加賀建設の事例発表

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加賀建設株式会社 鶴山氏

 

 

 続いて、実際にITを導入して働き方改革に活かしている事例として、加賀建設株式会社経営本部・鶴山秀二本部長に発表していただきました。

 

 加賀建設では2017年2月からクラウド型グループウェア導入の取組みを始めたそうですが、これまでの経過も含めて先ほどの「5つの法則」の視点でお話しいただきました。

 

1、目的

 建設業界ではなかなできていない週休2日の実現と、社内のペーパーレス化で無駄な時間外労働を削減することを目的として取組みを進めたそうです。

 

2、期間

 2017年2月に業務改善検討委員会を立ち上げ、同年10月にペーパーレス化を実現。その間、社員からの意見も踏まえた課題の抽出や、ルール決め、紙として残す文書の精査などを行ったとのことでした。

 

3、立場

 ITリテラシーの高い専務取締役がプロジェクトリーダーとなり、土木部門や総務部門、経営企画部門から選ばれた計5名のメンバーで、それぞれの役割を明確にしながら進めていったそうです。

 

 

 

4、専門家

 クラウド型グループウェアの導入にあたり、ITベンダーとコンサルタントと連携して進めていったそうです。ITベンダーには自社のやりたいことを伝えた上で実行支援をしてもらったり、コンサルタントには定期的なミーティングのスケジュール管理等を行ってもらうなど、それぞれの専門分野を活かしながらプロジェクトを進めたとのことでした。

 

5、IT導入と並行した業務改革

 ペーパーレス化実現後も、若い社員の方を中心にワーキングを行い、会社への改善提案をしているとのことです。会社のみならず、「業界も良くしよう」という気概を持って取り組んでいらっしゃる点が印象に残りました。

 また、全社員にiphone支給を行うなど、生産性向上に積極的に取り組んでいるとのことでした。

 

「100年企業を目指す」という鶴山さんの言葉には力がこもっていました。

 

4.全体ディスカッション

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ディスカッションの様子

 

 最後に、参加者の皆さんでそれぞれの会社のITの導入状況や課題などについて、意見交換を行いました。

 

 「業界や会社によって抱えている問題が異なることがわかった」、「他社で取り組んでいるものを自社でも取り入れてみようと思った」などの声があり、「もっと時間がほしい」という意見もあったほど、盛り上がったディスカッションでした。

 

 今回のセミナーでは、ピー・シー・エーさんや加賀建設さんから一般的なお話や「他社」のお話を伺いました。

 こうした情報を「自社」の状況にどう置き換えて実行していくかが重要なのではないかと思います。

 

 これからも、金沢イクボス企業同盟ではセミナー等の開催を通して、さまざまな情報の提供を行い、皆さまの課題解決や目指している働き方の実現を図っていきます。

2019年01月17日 11:50

【フォーラムレポート】白河桃子氏の基調講演などを開催しました。

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 9/27(木)に、金沢市×金沢イクボス企業同盟フォーラム2018を開催しました。

 今回は「ダイバーシティの働き方改革~働き方改革、うまくいっていますか?~」と題し、基調講演には、国の「働き方改革実現会議」の有識者委員も務められた白河桃子(しらかわとうこ)氏をお招きして、働き方改革関連法の成立意図や「なぜ働き方改革を行うか」などのお話を伺いました。

 約80名の方が集まったフォーラムの様子をご紹介します。

 

 金沢イクボス企業同盟の発起人代表である、玉田工業株式会社 玉田善明社長からの挨拶の後、市内の2つの企業から事例を発表していただきました。

 

1、株式会社宗重商店の事例

 代表取締役の宗守重泰(むねもりしげやす)様より、事例を発表していただきました。

 宗重商店さんにおける働き方改革とは、「自己成長感」や「他者貢献感」。

 

 社員の方々がやらされ感ではなく、「自分たちの会社は自分たちでより良くしていく」環境を作られているとのこと。

 

 特徴的なものは、社内の委員会活動です。入社2年目までの社員が委員長となり、普段の業務では関わらない部署の人同士で、あらゆる視点から会社を改善する取組みを行っており、リーダーシップ育成にもつながっているそうです。

 

 「解体屋ではなく新しい街づくり」をしているという言葉が印象的で、「100年後も金沢で無くなって困るのは“宗重商店”だと言われる会社にしたい」とおっしゃる言葉には力がこもっていました。

 

2、金沢信用金庫の事例

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 理事・経営管理部長の西井隆志(にしいたかし)様に事例を発表していただきました。

 働き方改革の取り組みとして、「労働時間の短縮」「営業店終了時間の前倒し」「有給休暇取得」を挙げられました。

 取り組みを行った結果、職員の方の時間に対する意識が向上した一方で、懸念していた営業面や事務管理面への影響は大きく出ておらず、結果として労働生産性が向上しているのでは、というお話しでした。

 西井理事は「取り組みはまだ道半ば」とおっしゃっていましたが、理事長の強い意思のもと、今年から経営理念に「魅力ある職場を通して、職員とその家族の幸せを実現する」という言葉も加わったということで、金沢信用金庫さんの本気度を窺うことのできる発表でした。

 

3、白河桃子氏による基調講演

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 いよいよ白河桃子さんによる基調講演です。

 白河さんは、内閣官房「働き方改革実現会議」において有識者議員を務められ、著書に『後悔しない「産む」×「働く」』(齊藤英和氏と共著、ポプラ新書)、『御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社』(PHP新書)、『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(是枝俊吾氏と共著、毎日新聞出版)などがあります。

 今回の講演タイトルは、「御社の働き方改革間違っていませんか?生産性と社員の幸福の好循環」です。

 

■働き方改革は経営課題であり、ビジネスモデルの変革

 改めて「働き方改革とは何か?」というお話。

 白河さんは「働き方改革とは、経営課題です。」と言い切っていました。

 個々の会社の事情にあった課題にきちんと向き合っていくことが重要であり、評価と報酬を再設計し、生産性を高めたのに給料が減る、ということのないしくみも必要というお話しがありました。

 

 個人としても、なんのためにやるのか。どう生きていけば幸せなのか。を問うことが大事だと言います。

 

■働き方改革における「チーム設計」と「コミュニケーション設計」

 労働時間の削減を目指し、会社から「早く帰るように」と言われてもどこかにしわ寄せが行ってしまうのはどこにでも起こっている問題ですが、それは丁寧なタスク設計がなされていないから、とおっしゃっていました。

 掛け声だけではなく、「チームで帰る」ための業務設計を行うことが重要だと言います。

 

 また、テレワーク等の柔軟な働き方を導入した結果、今までのような「おい、君ちょっと」と言ったコミュニケーションが成り立たない中で、本当に必要なコミュニケーションとは何かを考える必要があり、例えばLINEのような簡素なコミュニケーションツールを活用し、場所や時間や慣習を超えた新しいコミュニケーションのあり方を確立していくことが重要とのことでした。

■社員の「心理的安心感」と「生産性の向上」の関係

 白河さんは、「生産性の向上」のためには、「心理的安心感」が重要なカギを握ると言います。

 

具体的には、

・自分の事情を職場で共有できるかどうか。多様な人が自分の意見を忌憚なく言えるかどうか。

・イノベーションは、賛否両論の中からしか起きない。自分の意見が否定されるような職場では、良いアイデアがあっても批判を恐れて発言できず、結果としてイノベーションが生まれないことになる。

・そうならないために、社員が「心理的安心感」を持ち、発言しやすい雰囲気の職場を作ることが重要。

・成果の上がる組織の秘訣は、「心理的安心感」がある環境の中で「ちょっと高い目標を掲げる」こと。

 

 「心理的安心感」のもと、関係の質が向上すると、思考の質、行動の質があがり、結果の質もついてくる、という好循環が起きる。

それが、つまりは「働き方改革」。

 「働き方改革」はギスギス職場からワクワク職場へ変えることであり、結果としてイノベーションが生まれ、生産性が高まるというお話でした。

 白河さんから、さまざまな企業の事例を伺う中で感じたのは、「時代や考え方は確実に変わっている」ということ。

 この変化にいかに早く気づき、行動できるかがこれからの企業の生き残りにかかってくると感じました。

 

4、トークセッション

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 トークセッションは、宗守社長、西井理事、計画情報研究所の安江専務で行われ、時折笑いも起きる和やかな雰囲気となりました。

  

 宗守社長、西井理事それぞれの自社の中での役割や、具体的にどのような想いや手法で取り組んできたか、裏話(?)も交えながらお話しいただきました。

 

 「働き方改革を進めながら業績も伸ばす秘訣は?」との問いに宗守社長は、「明るいところに人が集まってくることを信じており、明るい職場づくりを目指している」とのお答え。

 数字だけを追い求めるのではなく、社員がいきいきとする職場づくりの重要性をお話しされました。

 

 西井理事からは、「職場の抵抗はなかったか?」との問いに対して「45歳以上男性の抵抗が激しかった」とのお話しが。昔からのやり方にとらわれている職員には、なかなか理解してもらえなかったが、働き方を変える必要性が徐々に浸透してきているとのお話しもありました。

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 お二人の話を伺いながら感じるのは、会社や社員の状況をよく見ているということ。

 

 宗重商店さんの取り組みの一つである「委員会活動」も、業務の特性上なかなか社内でコミュニケーションがとれない状況を改善するためのものでもあります。

 

 西井理事からも、日々の部下の仕事を直接見ている中で感じたムダを、「それ、やる必要あるの?」と気づかせることで、少しずつ削減しているというお話しがありました。

 

 

 基調講演の白河さんのお話しの中でも、「働き方改革は、自社の経営課題に向き合うこと」「早く帰るためには、チームで丁寧なタスク設計をすること」などのお話しがあり、働き方改革を進めていく上では、まずは自社の状況を良く見つめ、丁寧なプロセスを経ることが不可欠だと感じました。

 

 一方で、これまでのやり方を変えるために、時にはトップダウンで断行しなければいけないものもあるでしょう。

 

 その辺りの「丁寧さと大胆さ」が働き方改革には必要であり、まさにそれは経営そのものだと感じました。

 

 働き方改革は、小手先の制度を見直すだけのものではなく、経営そのものの改革であるということを今回のフォーラムを通して学びました。

 

 参加者アンケートでも、具体的な学びがあったという声が多く、今後の実践に向けたコメントも多く見られました。

 

 今後希望する内容としては、「もっと『イクボス』という言葉を広めてほしい」「中小企業の取組に関する具体的な事例を知りたい」という声もありましたので、今後のセミナー等の参考にしたいと考えています。

 

 金沢イクボス企業同盟では、今後も働き方改革やワークライフバランスに関連する学びの場や、企業同士の交流会を予定しています。

2018年10月29日 16:07

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