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活動報告

【レポート】2030年の働き方を考えるセミナーを開催しました!

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 7/26(金)、金沢では35℃を記録した猛暑の中、「2030年 こんな会社があったら金沢で働きたい!-社会に求められる企業経営の姿とは-」と題し、サマーセミナーを開催しました。
 
 今回は、金沢のSDGsを推進する「金沢SDGs-IMAGINE KANAZAWA 2030-」プロジェクトとのコラボ企画として、誰でも気軽に参加でき、SDGsを学び議論する「SDGsカフェ」にも位置づけての実施となりました。
 
 ゲストは、2017年のフォーラムでも講演いただいた、サイボウズ株式会社の野水克也(のみずかつや)さん。加えて、今回は、現役の大学生2名から2030年の自身の働き方を想像していただきました。

<プログラム>
① 金沢イクボス企業同盟の活動について
② 金沢SDGs -IMAGINE KANAZAWA 2030-プロジェクトについて
③ 学生発表「2030年 こんな働き方をしていたい」
④ 話題提供「給料が低くても人気のある会社になるには?」
⑤ トークセッション
⑥ グループディスカッション

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 まず、司会から、金沢イクボス企業同盟の概要や「金沢SDGs -IMAGINE KANAZAWA 2030-」プロジェクトの説明を行った後、現役の学生二人から「2030年 私たちはこんな働き方をしていたい」と題して、2030年のご自身の働く姿を発表していただきました。
 

学生発表「2030年 こんな働き方をしていたい」

 発表者のお二人は、東京都台東区出身で金沢大学に在学中の中西辰慶(なかにしたつよし)さんと、金沢市出身で明治大学に在学中の戸上玲央(とがみれお)さんという、金沢にゆかりのある方々です。
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中西辰慶さん      
 Photo by 国連大学IAS-OUIK
 

 
 ■ 働く上で大事なことは“コスパ”
 中西さんからは、まず「働く上で大事なことはコスパ」という衝撃の(?)一言が。
 しかし、「コスパ」という言葉には深い意味がこめられていました。中西さんの言うコスパの良さとは、自分の時間を確保したり学びや成長を感じることを通して自己実現できることであり、単に「楽して稼ぐ」ことではないということ。
またご自身の将来については、「週休3日で、75~80歳まで何かしらの職に従事している」というお話があり、75~80歳まで働くためには30代後半から40代半ばまでに「学び直し」の期間を取ることが必要とのことでした。
新卒時に持っている知識だけでは、時代の変化についていけず、80歳まで第一線で働く事は不可能。週休3日という働き方に関しても、単に労働時間を減らすのではなく、「学びの時間」に充てたいと中西さんは考えています。
 最後に。「これからの企業には社員が“新しいスキルや知識を学びたい”と言った時にどれだけ柔軟に対応してくれるかが求められるのでは。」というお話で締めくくられました。
 
 「コスパ」というキャッチーな言葉でご自身の未来を想像してくれた中西さん。
これから働く上では、会社だけに自分のリソース(資源)を捧げるのではなく、持続的に働くためにどう自分のリソース(資源)を使っていくか。そして企業は社員の希望に対してどれだけ柔軟に対応できるか、が必要になってくると感じた発表でした。     
 

 
 ■ 自分一人の活躍より、自分が生きる社会そのものの活性化

 続いて、戸上さんによる発表です。

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 戸上玲央さん 
Photo by 国連大学IAS-OUIK
 
 戸上さんは、来春東京での就職が決まっていますが、「30歳を過ぎる2030年には、地元に戻って働いていたい。」とのことでした。 
 「金沢も含めて2030年の地方都市は独自の仕事をつくることが求められる。」「個人としても新しい技術をきちんと学んでおくことが必要。」というお話しもあり、自分の利益よりも社会そのものが活性化することに重きを置いている点や、一つの専門分野を極めるというよりは多様な視点で物事を見れるようになりたいという点が印象的でした。
 
 お二人の話を聴いていて改めて感じたのは、これからの社会では長い期間働くことを想定し、それに向けた準備をしておく必要があるということ。
 もはや、「定年」という概念がなくなっていることを意識させられる発表でした。
 

 話題提供「給料が低くても、人気のある会社になるには?」


ここからは、サイボウズ株式会社・社長室フェローの野水克也さんからの話題提供です。

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野水克也さん   
Photo by 国連大学IAS-OUIK


■ 儲け方が変わったのに、働き方が変わっていない
 まず、「おじさんが気づかない社会の変化」として、日本のジェンダーギャップ指数が世界の中で著しく低いことや夫婦別姓が遅れている状況を挙げ、日本が世界から取り残されている現状を示していただきました。
 また、「産業構造がこの30年で金融・製造系中心からソフトウェア系へ変化している中で、発想の転換ができていない。これは、儲け方が変わっているのに働き方が変わっていないことが原因だ。」という指摘がありました。
 
 そのような時代背景の中で、「持続可能性を担保しながら稼いでいくことが企業には求められる」と野水さんは言います。
 
 さらに、「この現状について学生は敏感に反応しており、自己防衛の意味でもこれまでの働き方ではいけないということを感じている」とも。
 
ジェンダーギャップ指数:各国の社会進出における男女格差を示す指標。世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しているもので、経済活動や政治への参画度、教育水準、出生率や健康寿命などから算出される。0から1までの値を取り、1に近いほど平等の度合いがより高いことを示す。
 
■ 若者は、“リアルに食っていけるか”を本気で見ている
 「これからは給料が上がり続けることが保証されない社会であり、夫婦でフルタイム、ダブルインカムが必須になってくる。これを“女性の社会進出”ととらえるのは大きな間違いであり、これからの社会ではいかに男性が女性を支援できるかが死活問題である。」とのことでした。
 つまり、「若者は“リアルに食っていけるか”を本気で見ている。」と。
 
 しかし、これを許容できる企業が金沢にどれだけあるか?
 
「企業の多くは、東京に若者が取られていると思っているが、実際に学生に人気の職業は地方公務員。将来を見据えた時に、夫婦二人で安心して長く働くことができる環境を考えると、大変合理的な選択だ。」と野水さんは分析します。
また年功序列も崩れており、若いうちに下働きをすることが求められていない時代になっているとのことでした。
 
では、企業は何をするべきか。
 
ここからは、サイボウズ株式会社の実際の取組にも触れながらお話しいただきました。

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Photo by 国連大学IAS-OUIK
 

■ 自立と多様性が重要
 サイボウズにおいては、「働き方は社員自身が自分で決めている。働きたい人は働くこともできるし、休みたい時は休んでも良い。どちらにしても、自分で決めること。再学習も自分で決めてもらい、企業として環境は提供する。社員には自立と多様性を徹底している。」とのことでした。
 
 そして、こう続けます。「ただ、自立とは孤独に耐えるわけではなく、たくさんの人や社会に支えられている状態のこと。企業が社員の一生を保証するというのは幻想でしかなくなってきているが、社員がスキルをつけたいと言った時に、それをどれだけ認めることができるかがこれからの企業には求められる。現状では出来ない企業が多すぎる。」
 「さらに重要なのは、サイボウズがIT企業だからできるわけではなく、公共事業中心の建設業の会社でできている事例もある。ビジネスモデルはどの業種でも変えられる可能性があり、ITなどを駆使して早く若手が育つ会社が良い会社と言える。」
 
 最後に、「経験のない社員が長い期間働くためのスキルを身につけるために、企業は何を提供してあげられるかを“真剣に”考えれば自ずと答えは出てくる」という言葉がありました。
 
 野水さんの話題提供の中では、これからの企業は「社員を雇う」という意識から、「社員を支援する」ことに意識転換を図ることが重要だと感じました。
「雇う」というのは「賃金を払って、働かせ使う」という意味ですが、これからの時代はいかに社員に寄り添えるか。そのためにも、社員側としては「自立と自律」の精神で自分の人生に責任を持っておくことも必要だと感じました。
 

トークセッション


 野水さん、中西さん、戸上さんによるトークセッションでは、会場からの質疑が絶えない活発な議論が行われました。
 
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Photo by 国連大学IAS-OUIK
 
 トークセッションで主に議論となったのは、個人においても企業においても「持続可能性」に関すること。
「人生100年時代」と言われる時代、80歳まで持続的に働くために何が必要になるか。
 
 個人としては好奇心を持ち、世間に評価されること。
 
 また、企業としては「人」に依存せずに「しくみ」で売上を上げることや社員の再学習を支援することなどが挙げられました。
 
 さらに、本セミナーの副題でもある「社会に求められる企業経営の姿」とは「近江商人の考え方である“三方よし”を大事にすることではないか。」という話も出ました。
 
「個人も企業も地域も、誠実で周囲から尊敬されることが最も重要である。」「金沢は勤勉で文化もあるので、日本で最も“尊敬できる地域”を目指してはどうか。」という話もあり、金沢の目指す方向性がなんとなく見えた気がしました。
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Photo by 国連大学IAS-OUIK
 

グループディスカッション


 セミナーの後半は、各グループでのディスカッション。
 各グループには大学生が席についており、同じグループの社会人と2030年に向けて「今、自分が取り組めること」について話し合いをしていただきました。
 
 短い時間でしたが、普段なかなか話すことのない異なる立場の人たちとの議論で、いろいろな視点を得ることができたようです。

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Photo by 国連大学IAS-OUIK


 最後に野水さんからの講評。

「働くにあたって大事なことは、まず自分がどうしたら輝くことができるかを大事にすること。」
「役割と役職を会社の中の価値観として、どう分けるか。マネージャーや管理職はあくまで役割であることを理解する必要がある。価値観を変えると多様な働き方が見えてくる。働き方改革では、そこまで視野を広げる必要がある。死ぬ時に幸せな自分を考えること。」

 今回のセミナーで感じたことは、「働き方改革」では特に何か特別なことをする必要はないのではないか、ということ。「三方よし」の考え方や、誠実であることの大事さなどの話が出てきたことからも、「当たり前のこと」をいかにできるか。
 そして、個人としても自立と自律が大事であること。自分の幸せが何か自分で決めると同時に、自らで律してその幸せに近づいていくことが大事であると。
 
 野水さんは、「自立」とは周りの人に支えられている状態だと言っていました。
皆で支えあいながら働くことは、「働く」の語源とも言われる「傍(はた)を楽にすること」に通じることだと感じました。
 
 周囲と支えあいながら働き続けられる環境を築くことが、本当の働き方改革なのではないか。
 
 そんなことを感じたセミナーでした。
 
 これからも、金沢イクボス企業同盟ではセミナー等の開催を通して、さまざまな情報の提供を行い、皆さまの課題解決や目指している働き方の実現を図っていきます。



 
2019年08月09日 16:19

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