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活動報告

【フォーラムレポート】白河桃子氏の基調講演などを開催しました。

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 9/27(木)に、金沢市×金沢イクボス企業同盟フォーラム2018を開催しました。

 今回は「ダイバーシティの働き方改革~働き方改革、うまくいっていますか?~」と題し、基調講演には、国の「働き方改革実現会議」の有識者委員も務められた白河桃子(しらかわとうこ)氏をお招きして、働き方改革関連法の成立意図や「なぜ働き方改革を行うか」などのお話を伺いました。

 約80名の方が集まったフォーラムの様子をご紹介します。

 

 金沢イクボス企業同盟の発起人代表である、玉田工業株式会社 玉田善明社長からの挨拶の後、市内の2つの企業から事例を発表していただきました。

 

1、株式会社宗重商店の事例

 代表取締役の宗守重泰(むねもりしげやす)様より、事例を発表していただきました。

 宗重商店さんにおける働き方改革とは、「自己成長感」や「他者貢献感」。

 

 社員の方々がやらされ感ではなく、「自分たちの会社は自分たちでより良くしていく」環境を作られているとのこと。

 

 特徴的なものは、社内の委員会活動です。入社2年目までの社員が委員長となり、普段の業務では関わらない部署の人同士で、あらゆる視点から会社を改善する取組みを行っており、リーダーシップ育成にもつながっているそうです。

 

 「解体屋ではなく新しい街づくり」をしているという言葉が印象的で、「100年後も金沢で無くなって困るのは“宗重商店”だと言われる会社にしたい」とおっしゃる言葉には力がこもっていました。

 

2、金沢信用金庫の事例

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 理事・経営管理部長の西井隆志(にしいたかし)様に事例を発表していただきました。

 働き方改革の取り組みとして、「労働時間の短縮」「営業店終了時間の前倒し」「有給休暇取得」を挙げられました。

 取り組みを行った結果、職員の方の時間に対する意識が向上した一方で、懸念していた営業面や事務管理面への影響は大きく出ておらず、結果として労働生産性が向上しているのでは、というお話しでした。

 西井理事は「取り組みはまだ道半ば」とおっしゃっていましたが、理事長の強い意思のもと、今年から経営理念に「魅力ある職場を通して、職員とその家族の幸せを実現する」という言葉も加わったということで、金沢信用金庫さんの本気度を窺うことのできる発表でした。

 

3、白河桃子氏による基調講演

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 いよいよ白河桃子さんによる基調講演です。

 白河さんは、内閣官房「働き方改革実現会議」において有識者議員を務められ、著書に『後悔しない「産む」×「働く」』(齊藤英和氏と共著、ポプラ新書)、『御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社』(PHP新書)、『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(是枝俊吾氏と共著、毎日新聞出版)などがあります。

 今回の講演タイトルは、「御社の働き方改革間違っていませんか?生産性と社員の幸福の好循環」です。

 

■働き方改革は経営課題であり、ビジネスモデルの変革

 改めて「働き方改革とは何か?」というお話。

 白河さんは「働き方改革とは、経営課題です。」と言い切っていました。

 個々の会社の事情にあった課題にきちんと向き合っていくことが重要であり、評価と報酬を再設計し、生産性を高めたのに給料が減る、ということのないしくみも必要というお話しがありました。

 

 個人としても、なんのためにやるのか。どう生きていけば幸せなのか。を問うことが大事だと言います。

 

■働き方改革における「チーム設計」と「コミュニケーション設計」

 労働時間の削減を目指し、会社から「早く帰るように」と言われてもどこかにしわ寄せが行ってしまうのはどこにでも起こっている問題ですが、それは丁寧なタスク設計がなされていないから、とおっしゃっていました。

 掛け声だけではなく、「チームで帰る」ための業務設計を行うことが重要だと言います。

 

 また、テレワーク等の柔軟な働き方を導入した結果、今までのような「おい、君ちょっと」と言ったコミュニケーションが成り立たない中で、本当に必要なコミュニケーションとは何かを考える必要があり、例えばLINEのような簡素なコミュニケーションツールを活用し、場所や時間や慣習を超えた新しいコミュニケーションのあり方を確立していくことが重要とのことでした。

■社員の「心理的安心感」と「生産性の向上」の関係

 白河さんは、「生産性の向上」のためには、「心理的安心感」が重要なカギを握ると言います。

 

具体的には、

・自分の事情を職場で共有できるかどうか。多様な人が自分の意見を忌憚なく言えるかどうか。

・イノベーションは、賛否両論の中からしか起きない。自分の意見が否定されるような職場では、良いアイデアがあっても批判を恐れて発言できず、結果としてイノベーションが生まれないことになる。

・そうならないために、社員が「心理的安心感」を持ち、発言しやすい雰囲気の職場を作ることが重要。

・成果の上がる組織の秘訣は、「心理的安心感」がある環境の中で「ちょっと高い目標を掲げる」こと。

 

 「心理的安心感」のもと、関係の質が向上すると、思考の質、行動の質があがり、結果の質もついてくる、という好循環が起きる。

それが、つまりは「働き方改革」。

 「働き方改革」はギスギス職場からワクワク職場へ変えることであり、結果としてイノベーションが生まれ、生産性が高まるというお話でした。

 白河さんから、さまざまな企業の事例を伺う中で感じたのは、「時代や考え方は確実に変わっている」ということ。

 この変化にいかに早く気づき、行動できるかがこれからの企業の生き残りにかかってくると感じました。

 

4、トークセッション

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 トークセッションは、宗守社長、西井理事、計画情報研究所の安江専務で行われ、時折笑いも起きる和やかな雰囲気となりました。

  

 宗守社長、西井理事それぞれの自社の中での役割や、具体的にどのような想いや手法で取り組んできたか、裏話(?)も交えながらお話しいただきました。

 

 「働き方改革を進めながら業績も伸ばす秘訣は?」との問いに宗守社長は、「明るいところに人が集まってくることを信じており、明るい職場づくりを目指している」とのお答え。

 数字だけを追い求めるのではなく、社員がいきいきとする職場づくりの重要性をお話しされました。

 

 西井理事からは、「職場の抵抗はなかったか?」との問いに対して「45歳以上男性の抵抗が激しかった」とのお話しが。昔からのやり方にとらわれている職員には、なかなか理解してもらえなかったが、働き方を変える必要性が徐々に浸透してきているとのお話しもありました。

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 お二人の話を伺いながら感じるのは、会社や社員の状況をよく見ているということ。

 

 宗重商店さんの取り組みの一つである「委員会活動」も、業務の特性上なかなか社内でコミュニケーションがとれない状況を改善するためのものでもあります。

 

 西井理事からも、日々の部下の仕事を直接見ている中で感じたムダを、「それ、やる必要あるの?」と気づかせることで、少しずつ削減しているというお話しがありました。

 

 

 基調講演の白河さんのお話しの中でも、「働き方改革は、自社の経営課題に向き合うこと」「早く帰るためには、チームで丁寧なタスク設計をすること」などのお話しがあり、働き方改革を進めていく上では、まずは自社の状況を良く見つめ、丁寧なプロセスを経ることが不可欠だと感じました。

 

 一方で、これまでのやり方を変えるために、時にはトップダウンで断行しなければいけないものもあるでしょう。

 

 その辺りの「丁寧さと大胆さ」が働き方改革には必要であり、まさにそれは経営そのものだと感じました。

 

 働き方改革は、小手先の制度を見直すだけのものではなく、経営そのものの改革であるということを今回のフォーラムを通して学びました。

 

 参加者アンケートでも、具体的な学びがあったという声が多く、今後の実践に向けたコメントも多く見られました。

 

 今後希望する内容としては、「もっと『イクボス』という言葉を広めてほしい」「中小企業の取組に関する具体的な事例を知りたい」という声もありましたので、今後のセミナー等の参考にしたいと考えています。

 

 金沢イクボス企業同盟では、今後も働き方改革やワークライフバランスに関連する学びの場や、企業同士の交流会を予定しています。

2018年10月29日 16:07

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