企業の取り組み紹介⑥_株式会社国土開発センター
社名:株式会社国土開発センター
業種:建設コンサルタント
社員数:252名
所在地:石川県金沢市寺町三丁目9番41号
取り組みのキーワード
20時消灯の実施
ノー残業デーの実施
時間外労働パソコン使用申請制度
取り組みの目的
当社の業種である建設コンサルタントは、業界的に深夜にまで及ぶ長時間労働が当たり前でした。しかし平成14年に過重労働が社内で問題となったことをきっかけとして、業界のイメージ改善および社員の健康維持を目的に時間外労働の抑制に取り組み始めました。
取り組みの概要
1)20時消灯の実施時間管理の考えが浸透していない中で突然時間外労働を制約すると社員の反発も大きいと考え、平成15年よりまずは全社一斉の消灯時間を定めました。これは会社全体が遅くとも23時には消灯することで、だらだら残業を防止することを目的としています。万が一、消灯時間以降の勤務が必要となった場合には役員の承認を必要とすることと定めました。社員が23時消灯に慣れたのち、翌年には21時消灯、平成17年度以降は20時消灯と消灯時間を短くしていきました。現在では、基本的には20時には帰宅するよう習慣となっています。
2)ノー残業デーの実施
さらに時間外労働を削減すべく、20時消灯の取り組みと合わせてノー残業デー制度を取り入れています。事前に全社で定められた年間30日については、基本的に時間外労働をせず帰宅しています。
3)時間外労働パソコン使用申請制度
時間外労働削減への新たな取り組みとして平成30年より「時間外労働パソコン使用申請制度」を導入しました。これは勤務時間外にパソコンを使用する際には、事前に理由と共に使用時間を申請しないとパソコンが使えなくなる制度です。上長の承認が下りない場合にはパソコンの画面が強制的にロックされるツールを導入しています。
このツールの導入により、時間外労働は「個人の判断で行うのではなく、上長の指示のもと行うものである」という意識付けが強化されることを期待しています。また承認の過程において、管理職もメンバーの日々の時間外労働時間をさらに意識することができ、習慣化された時間外労働の防止に役立つと考えています。
▲打合せ風景
取り組みに関しての工夫
1)20時消灯の実施
まずは取り組み開始時に、社長からのトップメッセージとして、時間外労働削減に取り組む方針を明確に示しました。また「労働時間」に対する意識を持ってもらうために、管理職、メンバーに対して時間管理の方法や過重労働による健康被害に関する教育を行いました。さらに取り組み開始後は、総務部の担当者が部署の見回りを行いながら各メンバーに退社を促すとともに、時間外労働を行っている社員の上司へ報告して各管理職の労働時間把握の徹底を促すことで、消灯時間の浸透を図っていきました。
2)ノー残業デーの実施
当初は第2、第4水曜日がノー残業デーでしたが、年度末に向けての繁忙期には取り組みを行っても実践することが難しいという事態が発生していました。そこで現在では、第2、第4水曜日をノー残業デーとして固定化するのではなく、閑散期には毎週水曜日をノー残業デーとする一方、繁忙期にはノー残業デーをなくすといった、業務量に合わせた日程の設定に変更しました。これにより制度が形骸化されることを防ぎ、年間30日ノー残業デーには漏れなく退社するという習慣が身についたのではと考えています。
またノー残業デー当日には、パソコン上に通知が表示されたり10時と15時に全社放送が流れたりと、ノー残業デーを意識づける工夫も行っています。
3)時間外労働パソコン使用申請制度
新たなツールの導入に当たっては、混乱が発生しないよう事前に説明会や教育訓練を行いました。また、突発的な事態にどう対応したらよいかのケーススタディを作成し、導入前に社員の理解と制度の浸透を促しました。
ツール導入から1年以上が経過した現在、ツールをただ導入するだけでなく正しい運用がなされているか(申請が日々実態と合ったものになっているか、承認がめくら承認になっていないか)を確認していくことが今後の改善点です。また時間外労働の状況の見える化が進んだことで、管理職による仕事の平準化をさらに促していくことが必要と考えています。
取り組みの成果と現状
時間外労働の削減に取り組む中で、単に時間外労働が減るだけでなく、社員同士のコミュニケーションの向上や、各メンバーの業務量の標準化、急な欠員が出た場合のサポート体制の構築に繋がりました。
一朝一夕には成果は出ませんでしたが、取り組み開始から15年以上を経て様々な取り組みを継続する中で「長時間働くことが当たり前」という社員の意識も少しずつ変化していっています。
一方、発注機関からの急な依頼や繁忙期に向けての業務の集中など、自社の努力だけでは限界があることも感じています。今後は自社の取り組みはもちろんのこと、業界全体での活動にも取り組んでいきたいと考えています。