【レポート】11/20フォーラムを開催しました!
さて、先日の11月20日(月)に、サイボウズの社長室フェローである野水克也さんをお招きしてフォーラムを開催しました。
大変盛り上がったフォーラムの内容を、下記にご紹介させていただきます。
1. 野水さん基調講演
まずは金沢イクボス企業同盟発起人代表である、玉田工業株式会社の玉田社長による開会の挨拶。そして事務局から金沢イクボス企業同盟の紹介を行ったのち、早速基調講演へとはいります。
基調講演のテーマは・・
「理想の働き方 ― なぜ若い人が辞めるのか?なぜやる気のないおじさんが辞めないのか?」
・・ものすごいインパクト!しかし光景が目に浮かぶ、訴求力のあるタイトルです。
まずは日本社会を取り巻く現状の整理。
・ 日本の人口構成は完全な逆ピラミッド。
しかし働き方やビジネスモデルは人口増加時代と変わっていない。
・ 今後18年間で500万人の労働者が消える。日本中のタクシーとトラックの運転手を足した数の3倍。
・ 2025年には、医療・年金を除く社会保障費は国債償還分を除く国家予算と同額になる。
といったデータから、日本は働き方改革を行わなければ社会が持たなくなるという段階まで来ているという事がわかります。にもかかわらず、
・ 「女性活用」と言いながら行われているのは、おじさんによる同化政策。
9時に出社できなければ正社員になれず、おじさんと同じくらい働く女性でなければ出世はできない。
・ 若者が地方公務員になりたがるのは現実を見ているからであり、
それをやる気がないと言ってしまう、求職者に訴える魅力のない民間企業。
・ 財政破綻したギリシャと同じレベルの労働生産性。
ギリシャになっていないのは、長時間労働で持たせているから。
というのが、この国の働き方の現状です。
このような状況を打破する為には、若者が働きたくなるような会社・社会を作る事が重要で、それが本当の「働き方改革」なのです。
サイボウズでは、自立と多様性が最も重要視されています。
・ 休みやすい風土や副業可能な制度も、再学習や
スキルアップにより多様性、自立性を確保する為。
・ 職責を地位化しない。働き方はライフステージに合わせて選べ、
時間短縮やリモートワークから復帰する時は元の仕事に戻れる事を保証する。
・ ワークかライフかで言えばライフ優先。
人手が足りない事があれば、受注をあきらめる覚悟がある。
このような施策により、誰もやめず、求職者が殺到する会社になったとの事。
この他にも、
・ 高いスキルを持つ人には、スキルアップできる環境を報酬として用意する。
・ 働き方改革の本質は、女性活用でなく男性の生き方改革。自立とは依存先がたくさんある事。
といった、社風が随所に感じられるトピックスをお話しいただきました。
「制度・風土・ツールを変えるのがおじさんの仕事。
20年後に残る会社、20年後に残る働き方を皆さんの手で実践してください。」
講演の最後に野水さんからいただいた以上の言葉で、基調講演のまとめを締めくくらせていただきます。
講演後の質問タイムにも下記のような突っ込んだ質問があり、会場の関心の高さが伝わりました。
・ 100人100通りの働き方を実現する総務の人は大変では?
→人事制度は社員みんなで考える。総務の人は実務に集中。
・ 時間管理はどのようにしているのか。
→全職種で裁量労働制を取り入れているが、時間管理制との選択は従業員自身が自由に選べる。
2.金沢イクボス企業同盟の事例発表
野水さんの講演に続いて、金沢イクボス企業同盟の会員企業である、玉田工業株式会社の山田さんから事例発表がありました。玉田工業では、働き方の現状把握を行う為の全社員アンケート、また営業職を対象に活動時間分析を行い、時間外労働が発生する原因を突き止めて改善に取りかかっています。
こういった取組みにより、以前はかなり多かった若年者の離職は、近年ではほとんど見られなくなったそうです。
管理部門だけでできる事、また各部署だけでできる事は限られています。社内でサポート・ヒアリングをしながら進めていく事が、働き方改革の一番の近道であるという事が、山田さんの思いを交えて語られました。
3.ワークショップ
基調講演と事例発表に続いて、ワークショップを行いました。グループで話し合いながら、自社の「改革していること」「改革していないこと」を書き出してみるという内容。
2人の方から働き方についてのお話を聞いた後という事もあり、各グループ非常に話が盛り上がりました。盛り上がりすぎて改革事例の書き出しまでたどり着けなかった人もちらほら・・(←自分)。
最後に金沢市労働政策課の東田課長から講評をいただき、フォーラムは終了となりました。
4. 懇親会
セミナー終了後は、立食での懇親会。参加者のオープンマイクでは、各社の取り組みや個人の抱負が発表され、熱の入ったスピーチに万雷の拍手が送られるシーンもありました。
最後は野水さんからコメントをいただき、記念撮影で終了。お疲れさまでした!
おわりに
働き方改革で有名なサイボウズの取組みのお話は、野水さんのキャラクターもあり非常に刺激的で興味深いものでした。しかし、サイボウズでないと出来ないというものではなく、またサイボウズと同じ事をすればよいというものでもなく、それぞれの会社の中で、制度・風土・ツールを変える取組みを行っていく事が重要なのだと思います。
その為には、玉田工業の山田さんから発表があったように、従業員の声を聞き、労働の実態を細かく把握する事が大事です。
まずはできることから、そして、20年続く会社と働き方に向けて。
金沢イクボス企業同盟は、一緒に20年後を考える仲間をいつでも待っています!
2017年12月04日 10:10